日本車は壊れにくいという特徴がありますが、それでも長く乗っているとどうしても回避できない故障があります。それはエアコンのトラブルで、しっかりメンテナンスをしていても10年くらい使えば、いつ壊れてもおかしくありません。では、エアコンが壊れたときにどう対処すればいいのでしょう?
- カーエアコンが故障したら何をすればいい?
- 修理を依頼するとどれくらいの費用がかかる?
- エアコンが壊れたまま売ると損するの?
ここではそんな疑問を解決するために、車のエアコンが壊れる原因と、修理の前に知っておくべきポイントについて分かりやすく説明します。カーエアコンの故障で困っている人が読むことで、適切な価格での修理が可能になります。
もしかして壊れてる?エアコンの不調チェック
車のエアコンは長く使っていると必ずトラブルが発生します。これまで車に乗ってきて、一度もエアコンの不調に合ったことのない人は、ほとんどいないのではないでしょうか。もしそういう人がいるなら、おそらく5年周期くらいで買い替えをされているのではないでしょうか。
もしくはエアコンの故障に気づいていないだけかもしれません。エアコンが壊れたときには、次のような症状が見られますが、思い当たる節はないでしょうか。
- 冷たい空気が出てこない
- 流れてくる空気が臭い
- 風が流れてこない
- 異音がする
なぜこのような症状が見られるのか、車のどの部分が壊れている可能性があるのかについて個別に説明していきます。
冷たい空気が出てこない
エアコンのスイッチを入れても生ぬるい風しか流れてこない。これはよくある故障のひとつですよ。そしてすぐにでも修理したい故障のひとつでもあります。冷風が出ないのに気づくのは夏の始まりで、これから暑い日を過ごすことになりますから、エアコンが動かないと耐えられませんよね。
故障の原因としては次のようなものが挙げられます。
- 冷媒ガスが漏れている
- コンプレッサーの故障
- 電磁クラッチの故障
- エキスパンションバルブの詰まり・故障
- 外気温センサー不良
- サーミスタ(温度センサ)の不良
- 配線の断線
- 配管の目詰まり
- エアコンガスの入れ過ぎ
すぐに思いつく原因を挙げただけでもこれだけあります。ここまで原因が多いと、素人ではまったく判断がつきません。
この中でもさらに発生しやすいのが、冷媒ガスの漏れです。冷媒ガスは気化熱によって熱交換器の温度を下げます。熱交換器によって冷やされた空気が、車内に送り込まれて温度を下げるのが冷房の仕組みです。この冷媒ガスはパッキンの隙間などからゆっくりと漏れていきます。
このため、定期的に冷媒ガスは補充しなくてはいけません。それを怠ると冷たい空気を作り出すことができなくなります。冷媒ガスは自分で補充することも出来ますが、知識がない人が入れると、ガスの入れすぎによって結局また冷えなくなることもあります。
コンプレッサーの故障もよくある原因のひとつです。コンプレッサーは冷媒ガスを圧縮するための機械で、簡単には壊れないのですが、使っていない時期が長いと再始動時に壊れてしまうことがあります。このため、夏場になってエアコンのスイッチを入れたときに壊れることがまれにあります。
いずれも回避するために重要なのは日頃のメンテナンスです。車検だけでなく1年に1回はエアコン周りの点検をしてもらいましょう。
流れてくる空気が臭い
カーエアコンから冷たい空気が流れてくるものの、その空気が臭いということがあります。この原因として考えられるのが下記の2点です。
- フィルターやエアコン内部にカビが発生している
- エンジン部品の焼け
カーエアコンは空気を取り込むときにフィルターを通すことで、車内にきれいな空気を送り込みます。このフィルターは花粉やチリ、ホコリだけでなく、大気中のカビも吸い込みます。エアコン内部は湿度も高くカビが繁殖するのに最適な環境です。
エアコンを使い続ければ、空気が流れ続けるのでカビは繁殖しづらいのですが、エアコンを使わない春や秋などには、カビにとってはかなりの好環境ができあがってしまいます。冬場の暖房はカビを死滅させることができますので、冬場は最初に臭いだけでしばらくすると無臭になります。
問題は湿度の高い夏です。湿気がある上にエアコンで程よい温度になっていますので、カビは消えることなくとどまり続けます。そのカビのエリアを空気が通過してきますので、エアコンからカビ臭い空気が出てくるというわけです。
これに関しては、必要がなくても定期的にエアコンを稼働させることで予防できます。すでにカビが発生している場合には、暖房を使ってカビを焼いてしまうかフィルターを掃除もしくは交換するしかありません。
厄介なのはカビの臭いではなく、エアコンから焼けるような臭いやビニールが溶けるような臭いがしたときです。これはエンジン内で何かが焼けているか溶けています。ファンベルトや配線、ファンモーターなどにトラブルがある可能性があり、早急に修理をしなくてはいけません。
また、車内でタバコを吸う場合も、エアコンの空気がタバコ臭くなります。ある程度はフィルターで除去してくれますが、除去した成分はフィルターにとどまりますので、そこを通過する空気にタバコの臭いがついてしまいます。
タバコを吸う人は、定期的にフィルターを清掃するか、臭いが気になった段階で新しいフィルターに交換しましょう。
そもそも風が流れてこない
そもそもエアコンの吹出口から風が流れてこないこともあります。この場合に考えられる原因は次の4点です。
- エアコンヒューズ切れ
- スイッチの故障
- 送風ファンや基盤の故障
- フィルターの目詰まり
風が流れてこないということは、エアコンそのものが動いていない可能性があります。この場合、まずチェックすべきポイントがエアコンヒューズです。エアコンの電気系統にトラブルが発生した場合、エアコンヒューズが切れることがあります。まずはヒューズに問題がないか確認しましょう。
次に考えられるのが、エアコンのスイッチ類の故障です。配線の接触トラブルなどでエアコンの電源が入らないというようなことがあります。電源が入らなければ当然エアコンは動きませんよね。エアコンのランプが付いているのかどうかを確認しましょう。
スイッチに問題がなければ、エアコン本体の故障が考えられます。送風ファンはモーターを使っていますので、長く使っているとモーターのブラシや軸が摩耗します。その結果モーターが寿命を迎えて動かなくなることがあります。モーター以外にも基盤の劣化によってもエアコン本体は動かなくなり、送風が止まります。
きちんとメンテナンスをしている車ではあまり起こりませんが、エアコンフィルターの目詰まりが原因で送風が止まることもあります。完全に止まるのではなく、微風があるような場合は空気の供給が足りていないだけですので、フィルター掃除をして空気をしっかり吸い込めるようにしましょう。
異音がする
エアコンの電源を入れると異音がすることがあります。異音の原因はいくつもありますが、コンプレッサーやブロアモーター、エアコンベルトの故障が考えられます。ブロアモーターが壊れている場合には「カラカラ」という音がします。
「キュルキュル」という音がした場合には、エアコンベルトに問題があります。キュルキュル音はエアコンベルトの緩みや劣化によって発生する音ですので、できるだけ早くベルトを交換しなくてはいけません。
その他の異音はコンプレッサーの故障が原因に考えられますが、エンジンのマウントにクラックが入っている場合などは、共振が発生して異音が聞こえる可能性があります。コンプレッサーは故障しても車は走りますが、クラックとなると大事故につながります。
異音の原因をコンプレッサーだと決めつけずに、すぐに整備士に確認してもらいましょう。
エアコンの修理代金はいくらくらい?
エアコンが故障した場合は、すぐにでも直したいと思いますよね。でも、高額な修理代がかかるのだとすると、ちょっと躊躇しますよね。依頼する前にどれくらいかかるものなのか把握しておきましょう。
- エアコン診断料:8,000〜17,000円
- 冷媒ガス補充・交換:4,000〜30,000円
- 冷媒ガス漏れ修理:20,000〜30,000円
- コンプレッサー修理:40,000〜50,000円
- 電気系(ファンモーター)修理:40,000〜60,000円
まず、最低料金として診断料が発生します。どこが原因でエアコンが壊れているのか分かりませんので、それを調べるのに12,000円くらいかかります。それに加えて、故障箇所の修理費用が発生します。
これらの費用は「ディーラー>修理工場>電装品専門業者」の順で高くなる傾向にあります。ディーラーや修理工場ではエアコンの修理ができず、実際の作業を行うのは車の電装品専門に修理を行っている下請け業者ですので、下請けに直接依頼するほうが安くなるというわけです。
また、国産車よりも外車のほうが修理代金は高くなる傾向があります。部品交換が必要な場合、中古で済ませることができれば安く抑えることができますが、外車は中古パーツがあまり流通していないため、新品交換となってどうしても費用が高くなってしまいます。
修理代がかさむなら買い換えることを考えたほうがいいかもしれない
エアコンの修理は故障箇所にもよりますが、5万円前後が相場です。ただし、5万円かけて直しても、1年もしないうちにまた故障する可能性があります。なぜなら、カーエアコンは使えば使うほど故障しやすくなるためです。
10年乗った車なら、ほとんどの車がエアコン故障のリスクを抱えています。7〜8年くらい乗って、1度壊れたということは、またすぐに他の箇所が壊れる可能性があります。そのたびに5万円払っていたのでは大変ですよね。
また、10年近く乗っているとコンプレッサーやファンモーターは動いていても、パッキンは確実に劣化してしまいます。そうなると冷媒ガスが自然と抜けてしまいますので、夏になるたびに冷媒ガスを追加しなくてはいけなくなります。
そのような手間と費用を考えたなら、エアコンが壊れるくらいまで乗ったのだと考えて、車の買い替えも考えておきましょう。エアコンが故障するということは、エンジンなどもかなりの劣化が進んでいるはずです。これを買い替えのタイミングと考えてみてください。
エアコンが壊れた車は査定でどれくらいマイナス?
買い替えをするとなると、気になるのはエアコンが壊れた車にどれくらいの価値があるかということですよね。買い叩かれるのであれば、修理してから査定してもらおうと考えている人もいるかもしれません。では、故障したまま査定してもらうと、どれくらいのマイナスになるのでしょう?
もし修理に5万円かかるのだとすると、壊れたまま売ってもマイナス額は5万円を超えることはありません。買取業者はもちろん、引き取った後に修理をしますが、修理にかかる実費分だけ補えれば損しませんので、その額だけ査定額が下がります。
修理費用5万円というのは利益を乗せた額ですので、査定でマイナスになるのは実費の3〜4万円程度です。そう考えるとわざわざ直して売るメリットはありませんよね。修理費用よりはマイナス額が大きくなることはありませんので、そのままの状態で査定を受けましょう。
ただし、何も考えずに売却すると足元を見られる可能性があります。業者によっては修理費用よりも大きくマイナス査定にすることもあります。これを回避する方法がありますので、次章で詳しく説明します。
一括査定を使って少しでも高く売れるようにしよう
エアコンが故障している車を査定してもらうと、それを理由に大幅減額しようという業者がいます。これを回避するには、複数の業者に査定してもらい、相見積もりの形にする必要があります。競争相手がいるとなると、業者は足元を見ている場合ではなくなりますので、高値買取を期待できるというわけです。
ただし、複数の業者に査定依頼するのは、思った以上に大変な作業です。このため、相見積もりの状態にしたいのであれば、一括査定サービスを利用しましょう。一括査定は1度の申し込みで複数の業者に査定してもらえるシステムで、無料で使うことができます。
一括査定サービスを利用するだけで、交渉することなく高額査定を引き出せますので、エアコンの故障によって買い叩かれるかもと心配している人は、うまく利用して愛車を高く買ってもらいましょう。
まとめ
エアコンの故障とその原因についてご紹介しました。エアコンは使えなくても車は問題なく動きますが、快適さがなくなりますのですぐにでも直したいですよね。ただ、修理に持っていく前に、チェクしておきたいことがあります。
- どのような症状が出ているのかを確認する
- 可能であればその原因を特定する
- ヒューズのような自分で交換できる部品は自分で直す
- 修理費用の相場を把握しておく
- 修理は電装品専門業者に依頼する
修理を依頼する前に、少なくともこの5点だけは頭に入れておいてください。まずは、どのような症状があるのか、そしてその原因はどこにあるのかを推定しておきましょう。これができていないと、修理業者にすべて丸投げすることになってしまいます。
また、原因が分かれば緊急性も判断できますし、何よりも自分で直せるかどうかの判断もできます。もちろん原則としては専門家に任せるべきですが、ヒューズ交換くらいなら自分で簡単にできます。
修理料金が適正であるのかどうかを判断するために、修理費用の相場を頭に入れておくといいでしょう。何も分かっていないと思って5万円くらいの修理を「20万円」と言ってくる業者もいます。そのような業者につかまらないようにするためにも、修理は電装品専門業者に依頼しましょう。
車が古い場合は、修理してもまたすぐにエアコンが壊れる可能性があります。長く大事に乗ることも大切ですが、それくらいになると修理費用やメンテナンス費用がかなりかかってしまいます。7〜8年以上乗ったのであれば、修理ではなく買い替えも頭に入れておきましょう。
そのときには一括査定サービスを活用して愛車を査定してもらいましょう。エアコンが壊れていてもそれを理由に大幅減額されるのを防ぐことができ、高値で愛車を買取してもらえます。